海外のプレイセラピーの本を読んでいるとよく、“BoBob(ボーボー)”というおもちゃが出てきます。「なんだろう?」と思われた方も多いと思いますが、それがこのパンチングバックのことなのです。この「ボーボー」、実は、プレイセラピストの中で様々な論争を起こしている話題のおもちゃなのです。

子ども中心プレイセラピーにおいて、ボーボーは子どもが攻撃性を発散させる適切な対象として使われることが多くあります。子どもが、セラピストを蹴ろうとしたら、セラピストは「武君、先生のこと怒っているのだね。でも、先生は蹴るためのもんじゃないよ。」などと制限設定した後で、「代わりに、ボーボーかクッションなら蹴ってもいいよ。」と子どもが攻撃性を表現する適切な選択肢としてボーボーを挙げます。これは、子どもが抱いている感情や葛藤が、許容される形での行動化を通して表出されることで、心の緊張がほぐれるというカタルシスの効果(Trotter & Landreth, 2003) です。しかし、子どものイマジネーションによって、ボーボーは、馬になったり、スペースシャトルになったり、牢屋に入れる悪者になったり、小さなミニチュアが登る高い山になったりもします。私が2人の男の子を対象にグループプレイセラピーを行っていた時、一人の子が風邪でお休みした日、来室してきたもう一人の男の子は、相手の男の子が欠席なのを残念がり、セッションの中で、ボーボーをその男の子とみなして遊んでいました。このように、子どもによって、セッションによって、ボーボーの正体はまさに七変化するのです。

 

一方でDrews (2008)はバンデュラの社会的学習理論(社会認知理論)などを引用し、子どもは、対象はなんであれ、プレイルームで攻撃的行動が許容されることを体験すると、その行動をプレイルーム外の環境でも適用するようになる傾向があることを指摘し、ボーボーの設置は攻撃的行動の強化に繫がると言っています。ボーボーの治療的効果を肯定、または否定するかを決めるには、まだまだ多くのリサーチが必要とされるようです。

ボーボーをプレイルームに入れる場合には、その存在を治療的に応用出来るか自分なりに考え、そしてきちんと制限設定ができる力をつけておくことが大切です。また、子どもが自分のイマジネーションに従って、ボーボーを色々ものと見立てられるように、できるだけ、テレビやアニメのキャラクターなどがかかれていない、そして丈夫なパンチングバックを選ぶようにするとよいでしょう。プレイセラピー用に作られているボーボーは以下で購入できます。

http://cpt.unt.edu/shopping/shoppingcart.aspx   (左のToys & Materials の部分をクリックしてください)

http://www.counselingtoys.com/index.php?main_page=product_info&products_id=31


参考文献

Drewes, A. A. (2008). Bobo revisited: What the research says. International Journal of Play Therapy, 17(1), 52-65.

Trotter, K., & Landreth, G., (2003). A place for bobo in play therapy. International Journal for Play Therapy, 12(1), 117-139.


(文責:ファリス小川)




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