お子さんに絵本を読むということ

お子さんと一緒に絵本を読んでいますか?

 子育て講座などを開くと、親御さんたちからよく質問されるのは、「絵本を読んであげるのがいいって聞いたけど、読むのが得意じゃないから、上手に読んであげられない。ど うやって読んであげたらいいのか教えてほしい」、「声の大きさは?抑揚のつけかたは?感情表現を声優のように豊かに大げさにしたほう がいいの?」などなどです。多くの親御さんが、絵本を読んであげるためには、自分がエンターテイナーになる必要があると考えているようです。
もちろん、そんな風に感情表現豊かに読んであげることは、お子さんにとって楽しいかもしれませんが、絵本を読むということは、実は、親子のコミュニ ケーションをとるきっかけであって、何かショーや出し物を提供してあげることではないのです。

 コミュニケーションをとるきっかけとしての絵本・・・具体的にこういう風に読んでみてください。
 まず、お子さんの顔が見えるように横並びや向か い合って座ったり、添い寝したり、抱っこしたりしてください。顔が見えるように、というのがポイントです。そして、表紙を見せます。表紙の絵を見て、子どもが触ったり、声を出したり、にこにこしたりしたら、「そうだねー。おもしろそうだねー」と言ったり、絵を指さしているところを見て「わあ、おいしそうだねー」「緑色がいっぱいだね!」など、表紙の絵を見たときの子どもの表情や動き、言葉から分かる反応をひとしき り楽しんでみてください。
 そして、1ページ目を開きます。そこでも絵があったら、子どもが何かしら反応すれば、その反応に対して、表紙のときと同じように一緒に楽しみます。そ れから文字を読みます。文字を読んだあとすぐに次のページに行くのではなく、そのページにしばらくとどまって、子どもがどういう表情で親御さんが読んだ言 葉を聞いてい たか、絵に対してまだまだ反応しているかもしれませんので、それに対して「どうなるんだろうねー。ぶたさんがにこにこしているねー」など、言葉をかけたり します。カエルやうさぎが出てきたら、その真似をして、ぴょんぴょん子どもが飛び跳ねたり、出てきた動物の鳴き真似をするかもしれません。「あ、うさぎさ んなんだね!」などの言葉をかけて、一緒に楽しみます。そして、ゆっくりと次のページ。また絵に対しての子どもの反応を楽しんで、そ してゆっくりと文字を読んで、また反応を楽しんで・・・、という調子で1冊を二人でゆっくりと読み進めていく感じです。


 いかがでしょうか?絵本の物語の筋を追う、というよりも、二人で一緒のものを眺めながら、お互いに 反応し合う、コミュニケーションを交わし合う、というそういう楽しみ方です。絵本には、いろいろな絵のタッチやお話のトー ン、そして言葉のリズムがあります。派手で明るいものや、少し落ち着いたもの、しんみりした調子のもの、わいわい楽しそうなもの、のんびりしたもの、元気なもの・・・・。いろんな絵本をこんな風にゆっくりと楽しんでいくことで、お子さんがどの絵本に一番反応するかが分かります。つまり、お子さんの個性や好みを親御さんが知っていくことになるし、お子さんも、絵本から刺激を受けた自分のいろんな気持ちを親と共有できると親のことがますます大好きになるし、親子の信頼関係も深まります。


 また、「まだ1歳にもなっていないから絵本を読んであげても分からないだろう から、まだまだ先だと思っていた」、という意見や、「絵本を読もうとしても、聞いているのか聞いていないのか分からない」、「じっと聞いて なくて、自分でページをめちゃくちゃにめくろうとするから、本 が好きじゃないと思って読んであげていない」という意見なども聞かれます。先ほどの具体的な例の中でも、お子さんが絵本を読んでいる途中で動物の真似をしたりして 動き回っていました。絵本を読むときには、物語をただ受け身的に子どもが聞いているイメージをとりはらいましょう。もちろんそういう風にじっとして聴くのが好きなお子さんも いるでしょう。でもきっと表情や動きなどで何か反応しているはずです。ページを自分でめくろうとするのも、それがその子の 楽しみ方です。好きなように絵本を一通り触らせましょう。その表情や動きなどの反応から、親御さんは「どきどきするねー」「おもしろくなってきたね」「嬉しいねー」「悲しいねー」「ちょっと怖いねえ」などコミュニケーションをしてあげてください。そして、こういう読み方であれば、1歳よりも前の、言葉を使う以前の年齢でも絵本を楽しむことができます。0歳の赤ちゃんも、かすかに、そしてゆっくりではありますが、全身で、あるいは声を出したり、口や舌を動かしてよだれを出したりしながら絵本に反応します。

 なので、最初にした質問は、お子さんに絵本を 読んであげていますか?ではなく、一緒に読んでいますか?なのです。こんな風に一緒に楽しむ気持ちでいると、絵本を読むのがきっともっと気楽に、楽しくできる のではないでしょうか。 


*0歳から3歳など、小さいお子さんでも楽しめる絵の多い絵本

 「ぶぅさんのブー」 100%オレンジ、及川賢治、竹内繭子作、0.1.2えほんシリーズ、福音 館書店
 (この0.1.2シリーズ の絵本はどの絵本もとても楽しいです)
 「きんぎょがにげた」 五味太郎作、福音館の幼児絵本
ほかにもたくさんたくさん あります。図書館などで借りて、子どもさんが好きな絵本を探しましょう。


(文責 湯野)


Copyright (C)Tokyo Center for Play Therapy
All Rights Reserved

 

 
Make a Free Website with Yola.