感情の反映:気持ちを 「聴く」

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 今日は、カウンセリングの中でも基本でしかも重要 な「感情の反映」というスキルについてお話したいと思います。

 私が大学院に在籍していた時に、イスラエルから来 たクラスメートがいました。そし て、ある日彼女から信じられないような話を聞きました。

 私のクラスメートは、イスラエルに住んでいる従兄弟 から、彼女の7歳になる娘が公共 のバスがテロ爆破されて死傷者を出すという凄まじい光景を目撃してから、話もしない、家に閉じこもったまま、口の中は口内炎だらけになりご飯もろくに食べ られない状態になってしまい、困っているという電話がかかってきたそうです。イスラエルとアメリカの長距離電話。長いことは話せない状況で私のクラスメー トは「感情の反映」というとても基本的なスキルだけをこの子のお母さんに伝え電話を切ったそうです。

 心理臨床大辞典によると「感情の反映」とは、『ク ライエントが表明する話題に含まれた感情をセラピストが映し出して伝える』と定義されています。すこし抽象的でピンと来にくい説明のような気がするので、 もう少し具体的な状況を想像してみましょう。

 あなたのお子さんが学校からテストの結果を持って 帰ってきました。うつむいて元気が ない声で一言「一生懸命がんばったのに・・・いい点とれなかった・・・」さて、あなたのお子さんへの反応は?

 

1.「次回がんばりましょ」

2.「もっとがんばっていたら、きっともっといい 成績が取れたんじゃな い?」

3.「思っていたよりも悪い成績でがっかりだった よね。しかも一生懸命がんばったのにね・・・」

 

 1は励まし。2は間接的ではありますがその子が十分 にがんばらなかったという批判。 1も2もその子の気持ちには全く触れていません。一方3では「がっかり」というその子が言葉と顔の表情や姿勢などといった非言語的表現方法で伝えている気 持ちを汲み取ってあげています。端的に言えば「感情の反映」とは、相手の立場に立ち、相手の目の高さで物を見て、相手が感じているように自分も感じ、そし て理解を相手に伝えるということなのです。

 クラスメートの話にもどりましょう。彼女は女の子の お母さんに「もう大丈夫よ」とか 「お母さんがいつでも一緒だからね」と慰めの言葉をかけるよりも、「今でも忘れられないくらい怖かったんだね」「又あんな事が起きるんじゃないかって心配 なのよね」とその子の気持ちに調和することをアドバイスしました。数時間後、そのお母さんは待ちきれずとばかりに又電話をかけてきたそうです。お母さん曰 く、その子が今どんな気持ちでいるかに触れた途端、女の子はどれだけ怖い思いをしたか、ママやパパも死んじゃうのではないか心配したということを大泣きし ながら話出したそうです。そしてその一週間後には口内炎もすっかり消え、その子は食欲も出てきて、元気を取りもどしたそうです。

 人が困っていたり、落ち込んでいたりするのをみる と、私たち人間はどうにか助けてあげたいと思うあまり、慰めたり「こうするべきよ」と提案したり、又は自分の体験談をかたったりしがちです。でも、本当に その人が理解してもらえたと感じるのは、じっくり話を聞いてもらい、そして、今どんな気持ちでいるのかをわかってもらえた時だと思います。そしてこの「わ かってもらえた」と言う気持ちが根底にあると、他者からのアドバイスやちょっとした忠告、建設的な批評も受け入れやすくなるのです。

 私が小学生だった時、担任の先生が、「『聞く』 という字には耳という字だけが含まれているけれど、『聴く』という字には耳と目と心も含まれています。人の話をきちんと「聴く」にはこの3つはとても大切 です」と話し、小学生ながらに納得したのを覚えています。「感情の反映」―子どもの気持ちを全身で「聴き」そして、その気持ちを理解しているということを 伝える。とても小さな事のように聞こえますが、子どもとのコミュニケーションパターンをがらりと変える程のとてもパワフルな技術なのです。

 

 (文責:ファリス小川)


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