災害報道と子ども

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震災の日から1週間がたち、それぞれ皆さん不安や、いつもと違う何かを常に感じながら生活をしてこられた毎日で、大人も子どももとても疲れている頃ではないでしょうか。私たちも、この1週間の間に、お会いした東京や関東近辺のお子さんやご家族の皆さん、ツイッターなどでご意見をくださる方々から、地震や交通、停電の不安だけでなく、特にお子さんの様子について、ご心配される声を多く伺いました。災害報道を子どもに見せることについてのご心配を多くいただくこともあったので、今回はそのことについて触れたいと思います。週末になって、震災の特別番組を見る機会もあるかもしれないと思うので、以下の事柄をお知らせすることにしました。 


お子さんに災害の報道(テレビ、新聞、インターネットなどの映像や写真など)を見せることはよくないことだと言われています。なるべく見せないようにしま しょう。地震前にお子さんが習慣的に見ていた番組などがあったら、できるだけそのような番組を見せてあげるようにして下さい。もしこれまで報道に触れすぎ た場合、以下のような子どもの様子が見られる事があります。

怖い夢を見る

いつもよりも元気がない、逆にイライラしたり興奮しやすくなったりした

いつもは好きなはずのことをしなくなった

眠れない

ご飯を食べない

地震や災害の事ばかり気にしている

頭が痛い、おなかが痛いなどの体の不調が現れた

保育園や幼稚園、学校に行きたがらない

お父さんやお母さんから離れたがらず、べったり甘えん坊になった。


報道を見ることによる子どもへの影響は、子どもの以下のような発達上の特性から来ると言われています。


言葉での理解がまだまだ大人のようにはできないため、映像や画像に伴う事実の把握ができず、その映像や画像の衝撃が大きい。

自分中心に世界や物事を捉える特性があり、自分の見たもの聞いたものが自分とは無関係であると思いにくく、すぐに自分の近くでも起きるのではないか、あるいは自分に何か責任がある、と思ってしまう。

時間感覚の発達がまだ途上であるため、過去の出来事を録画再生したものであるということが理解しづらく、今また起きていると思ってしまう。

大きなお子さん(小学生中学年ぐらい)であれば、自発的にニュースやインターネットでの情報を得ることが可能であり、触れる時間が増えてしまい、感受性が豊かであるために、出来事に感情移入しやすい。

 今回は報道だけに限らず、実際に地震や交通、停電などの不安を関東近郊では体験されているお子さんも多いので、以上の様子はどのお子さんにも現れる可能性があります。その場合には、次のような事柄を、親ごさんや周りの大人が無理のない範囲で行ってください。

 

1. 不安を笑ったりせず、「今はもう大丈夫になったんだよ。」「ここは大丈夫で安全なところなんだよ。」「みんなで守ってあげるから大丈夫だよ」ということをしっかり伝えてあげる。

 

2. 震災についての子どもの質問や疑問、不安については、1のように大丈夫という安心を常に伝えながら、できるだけ子どもにわかるように簡潔に説明してあげる。

 

3. 親や周りの大人がいつもよりも少し意識して、一緒にいる時間を増やしたり、家族で一緒に楽しく遊ぶ時間を持ちます。大人との、守られた安心で楽しい関係を子どもが確認できることが大事です。

 

4. 子どもが地震や避難の絵を描いたり、その場面のごっこ遊びをしていたりすると、大人は心を痛めてしまうものですが、それは子どもが遊びを使って自分の気持ちを整理したり表現したりするために、必要なことをやっている子どもの回復力なのです。やめさせたりせず、見守ってあげましょう。数週間も続くようだったら、子どもさんがうまく気持ちの処理ができていない可能性がありますので、心の専門家の助けをもらうのがいいと思います。


5. 物事が少しずつでもよくなっているということ、人々ががんばって協力して良くしていっている、というニュースの良い側面を意識的に伝えてあげて、世界や物事の希望をお子さんが理解できるよう、伝えていくことも大事です。

 

 最後に、トラウマやPTSDの 知識が広く知られてきていることから、災害などの大きな出来事があると、このような行動や様子について、トラウマになってしまって病気になるんじゃない か、と心配する声が最近は挙がります。でも、実際には一時的にどのお子さんもこういう状況になるのはいたって自然で正常なことなのです。むしろ、子どもは こういう行動や様子を一時的に示すことで、自分を守ってくれる大事な親ごさんや周りの大人との信頼関係や、自分の生活の安定を確認しています。自分で自分 の周りに働きかけて回復しようとしているので、こういう様子を示していることが、問題というよりも、お子さんの心の持っている自然治癒力、回復力を発揮し ているのだといえます。親ごさんや周りの大人の皆さんも、安心してお子さんの回復力に応えていただけたらと思います。




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