このページでは、保護者の方に役立ちそうな、子どもの発達や児童心理の情報、知識を提供していくとともに、普段の生活の中に取り入れられるような、ちょっとした子どもの「心の栄養」になるようなゲームやスキルを紹介していきたいと思っています。

 又、毎回ここでご紹介する内容は、お子さんのご専門の先生方が、保護者の方々や、他の職種の方々とのコンサルテーション、またはスーパービションなどで、参考資料としてお渡しして、お子さんとのかかわりについて話し合うきっかけづくりとなるように、ダウン ロード、印刷用として、PDF形式の書類も同時に提供していきます。ここでご紹介していくことを、色々な場でどんどん活用していただけると幸いです。

喪失体験をした子どもの気持ち

喪失体験をした子どもの気持ち.pdf 喪失体験をした子どもの気持ち.pdf
Size : 3079.826 Kb
Type : pdf


東日本大震災が起きてから、もうすぐ3ヶ月が経ちました。被災地支援にあたっている同僚から、最近になって被災した子ども達の中で、身近な「死」に向き合い始めているお子さんがいると聞きました。災害が起きた当初より幾分か生活が落ち着いてくると、今までは考える余裕のなかったこと、感じることが辛すぎるので封鎖していたことを、心、脳が処理しようとします。少し重いトピックではありますが、今回は子ども「死」を体験したときに抱く様々なきもちについてお話したいと思います。

 身近な人を亡くした子どもが抱いている気持ちとして、「悲しみ」は誰もが思いつくものだと思います。しかし、子どもは、誰かを亡くしたことに対して悲しみを感じ、表現するようになる以前に、他にも様々な感情を体験します。つらい出来事を子どもは忘れていくのではなく、こういった気持ちを一つ一つ体験し、自分なりにその出来事を理解し、乗り越えていきます。その間、子どもに寄り添うことは大人にとっても並大抵のことではありません。しかし、信頼する大人が一緒に寄り添ってくれることがあって初めて、子どもは、つらいときを乗り越えることができるのです。


 ショック/否定

 大切な人の死を体験した子どもが大きなショックを受けている時には、亡くなった人がまだあたかも生きているような、または戻って来るようなふりをしていたり、何も以前と変わっていないような振る舞いをすることも多々あります。子どもがこのような気持ちでいる時には、その子が何も感じられない状態でいることを受け入れてあげましょう。しかし、「きっとパパはすぐに帰ってくるよ」といった、大切な人が亡くなった事実を否定することを強めてしまうようなコメントは控えるようにしましょう。

混乱/パニック

 「この後どうなるの?」「他にも私の大切な人が死んじゃうの?」「誰が私の面倒を見てくれるの?」といった混乱、不安、恐怖心、圧倒された気持ちを、身近な人を亡くしたときに子ども達が抱くこともよくあることです。このような気持ちは表向き、不注意やイライラ感として表現されたり、または頭痛や腹痛といった身体症状、または赤ちゃん返り的な行動として現れることもあります。身近な人の死への反応としてこのような傾向が子どもに見られる場合は、このような行動をしからず、「心配なんだよね」と子どもの不安な気持ちを受け止め、そしてその後面倒を見てくれる人がそばにいることを知らせ、安心を与えましょう。

感情の爆発:いかり

 死を体験した子ども達は、大切な人を奪われてしまったこと、自分がこのような状況に置かれたことで、世の中は不公平だと考え、強い怒りを感じていることがあります。そのような怒りの感情が攻撃的な行動として表現されることがあります。攻撃的な行動には制限を設定しながらも、子どもの怒りの気持ちは受け入れてあげるようにしましょう。

罪悪感

 子どもは発達上自己中心的に物事を理解する傾向があるため、「自分がお母さんの言うことを聞かなかったから」「自分が弟のことなんて大嫌いだ!と昨日言ってしまったから」その人を亡くしてしまったのだと、大切な人の死は自分が導いたことであると考えている場合が多々あります。子どものそのような罪悪感を受け入れてあげながらも、大切な人の死は子どもの責任ではないことを強調する必要があります。

悲しみ

 大切な人が亡くなり二度と戻っては来ないと言う現実を受け入れ始めると同時に子どもは悲しみを感じ始めます。悲しみの他に虚無感、引きこもり、無力感、などもこの段階で子どもがよく表現してくる感情です。通常、この段階にまでくるには、かなりの時間がかかります。数ヶ月、または数年後になることもあります。しかし子どもが喪失と向きあうペースは個々によって大きく異なるので、それぞれの子どもが辿る喪の過程(失った人や物を悼み悲しむ過程)を尊重してあげましょう。

  

 年月が経ち、喪失体験の影響が軽減されてきても、時としてまた強い感情が蘇って来ることが子ども達の人生の様々な点でおこります。そのような、いわゆる感情の「発作」は大抵、特別な時期(例えば、亡くなった日、亡くなった方のお誕生日、子ども自身のお誕生日、母の日、父の日など、卒業式など)、または場所などによって引き起されるため、予想が可能です。そのような「発作」が予想される時は前もって、子どもがその日を複雑な気持ちで迎えるかもしれないこと、でもどのような気持ちも抱いていいのだということを子どもに伝えることが大切です。


物やペットの喪失体験

 喪失体験は人間に対してだけではなく、自分にとって個人的な意味があったもの、自分の生活の一部となっていたものなどを失った時にも体験されるものです。特に子ども達は生物、自然、無機物を問わず全てのものに命が宿っており、人間のように感じたり、考えたりしていると信じている傾向があります。ただの三輪車でも、自分と一緒に色々な所にいってくれる友達のような役割をその三輪車に子どもが感じていたら、三輪車を無くしたことの喪失感は大人の私たちが想像するよりももっともっと大きなものでしょう。「たかが三輪車じゃない」と言わず、子どもの、物に対する喪失感も大切に受け入れ、一つ一つの気持ちに寄り添ってあげましょう。



Copyright (C)Tokyo Center for Play Therapy
All Rights Reserved
 
Make a Free Website with Yola.