第二回 今回ご紹介する本

Schaefer. C.(Eds.).(2003).
Foundations of Play Therapy. New York:
John Wiley & Sons.

 

〈文責 湯野〉

この本は、私が、少しずつプレイセラピーの勉強が進んできて、プレイセラピーにもいろいろな理論や考え方があるということを知るようになった頃に出会った本で、プレイセラピーを勉強する上で、欠かせないテキストのひとつだと思います。


 2003年に出版されているので、比較的最近の本で、プレイセラピーと言った場合に、多くのプレイセラピストたちが思いつく主要な理論につい て、とてもわかりやすく説明されています。たとえばその項目には、精神分析的プレイセラピー、ユング分析プレイセラピー、アドラー派プレイセラピー、子ど も中心プレイセラピー、フィリアルプレイセラピー、ゲシュタルトプレイセラピー、セラプレイ、認知行動プレイセラピー、などなど14のプレイセラピーの理 論や技法が挙げられています。どの理論の章でも共通のトピックとして、その理論の考え方・用いる技法・目標とすること・セラピストの果たす役割・親の果た す役割・臨床現場での適用の例、が考察されていて、それぞれの違いや共通点を比較できる組み立てになっています。その上、寄稿している人々が、それぞれの 理論・領域の第一線で活躍する、信頼できるプレイセラピストの方々ばかり!

 私は、初めて読んだときには、こんなに多くのプレイセラピーがあるんだなあ!としみじみ驚き、そして、ここに挙げられているそれぞれのプレイセ ラピーの理論を、参考文献に手伝ってもらいながら勉強していくことで、自分が目指したいプレイセラピーがどのようなものなのか、自分ができること、できな いこと、どういったお子さんやご家族の悩みに、どういった方法が一番適しているのか、などを、自分で考えて整理するとてもいい刺激になったと思います。

 プレイセラピーの国際学会(APT)が行った調査研究によると、現在、プレイセラピストは自分の拠って立つ一つの理論だけではなく、いくつかの 理論や技法についてきちんと訓練を受け、お子さんやご家族の悩みや状況に合わせて、さまざまなプレイセラピーの技法を統合的に正しく使えることを目指して いる人が増えているようです。私もその一人で、ここにあるようなプレイセラピーの理論を、気まぐれに使うのではなく、きちんと一つ一つ極めていくことで、 自分の役立てる領域が増えることを目指していきたいと思っています。自分が使うか使わないかを別にしても、多くの理論の知識を正しく持つことで、必要なこ とをお子さんとご家族に提供していける専門家でありたいと思います。プレイセラピーには訓練が本当に重要なのは言うまでもありませんが、そういった意味で も、プレイセラピーの訓練・勉強は一生続きますね!やりがいがある、と思うか、うーん大変、と思うか、皆さんはどちらでしょう?私は、そこにたくさんの希 望がつまっているようで、とても楽しみに感じています。

近々、日本語訳も出版されると聞いています。出版されましたら、ぜひまた当ウェブサイトで紹介いたします。


 


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〈文責 ファリス小川)

 私の大学では、カウンセリング・プレイセラピーを行う際に、まず自分が立脚する理論、guiding theory を選ぶことが要求されました。guiding theory を選ぶまえに、一体どのような理論があるのかを学び、様々な理論の基礎知識を得る事が必要となります。その時にこの本がとても役に立ちました。

 人間の本質と は?環境の役割と は?どのようにして人は変わるのか?人が変わるための必要条件とはなにか?セラピストの役割とはなにか?セラピーの目標とはなにか?まずは自分がこのよう な質問に対して個人的にどのような考えをもっているかをまとめ、その後、自分の考えと最も一致する理論、または自分が最も共鳴できる理論をguiding theory として選びます。それぞれ異なったguiding theory を選んだ生徒達が、ある一つのケースについて夫々自分の理論に基づいて説明したり、自分自身の生い立ちをこのguiding theory に基づいて話をしたり、そんなこともクラスの中で行われ、自分が選んだguiding theory に精通することが徹底的に求められました。

  その後受講したAdvanced Play Therapy というクラスでは、この本が教科書の一つとして指定されていました。このクラスでは、もう少し一つ一つの理論を詳しく見て行き、その理論に即したプレイセ ラピーは実際どのように行われるのかを勉強して行きました。Guiding theory 以 外の理論で使われてるスキルでも、「あ〜こういうアプローチもあるのか」「あ、これはあのクライエントに使えそうだ」と、いわゆる私の「プレイセラピー道 具箱」の中にもっと沢山のプレイセラピースキルを入れておくことができるようになりました。そして様々なプレイセラピーのスキルを、クライエントの主訴や 家族力動など、多くの点を考慮した上で、統合的に正しく使うという広い視野を得る事ができました。

  本書の翻訳は関西大学の串崎教授が監訳者となって作業が進んでいます。来年あたりには出版される予定。楽しみです。



 

 
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