| 第一回 今回ご紹介する本
Landreth,
G. (2003). Play Therapy: The art of the relationship. ゲリーランドレス(著) Landreth,
G. (原書)山中康裕(監訳)角野善宏 勅使河原学 國松典子(訳者代表)(2007) プレイセラピー 関係性の営み 日本評論社
|
〈文責 ファリス小川) やはり、第一弾はこの本のご紹介から始めたいと思います。私にとっては、人生の転機になった本といっても過言では無いこの本。この本を読んでやはり Dr. Garry Landreth のもとにいくしかないと決心し、Dr. Landrethの所属するテキサス州のデントンという町にあるUniversity of North Texas に行くことにしました。 この本の翻訳本がでるに当たっては、京都大学大学院の翻訳者の方達と出会うというきっかけを与えてくれた本でもあります。私も「刊行によせて」を書かせていただく光栄な機会を頂きました。翻訳者の数人は翻訳に際して、 Dr. Garry Landrethに会うために、デントンまで来て下さったこともありました。丁度その頃心理学科の学部生の授業で異文化間カウンセリングを教えていた私 は、これは良い機会!とばかりに京都大学の方々に日本についての発表をして頂くというとても無理なお願いをしたのですが、授業は大成功。いまでも楽しかっ た授業の思い出として良く語られています。 さて、この本の魅力ですが、この本はプレイセラピーという大きなテーマパークを優しく案内してくれるような本だと思います。プレイセラピーにおける様々な 重要なエッセンスをおさえ、わかり安く説明しています。Dr.
Landreth はChild -Centered Play Therapy
(児童中心プレイセラピー)の大家でありますが、この本の多くの章は理論を超えて、プレイセラピストとして理解しておきたいこと、心がけたいことなど書か れていると思います。 この本を持ってカナダのバンクーバーの町の歩いていたら、突然 "This is a wonderful
book, isn't it??" と知らない人に声をかけられてびっくりした経験があります。世界の各地で様々なプレイセラピストの役に立ってきているこの本、日本でも大活躍してくれそうです。
Copyright (C)Tokyo Center for Play Therapy All Rights Reserved | 〈文責 湯野〉 私も、プレイセラピーを始めて間もないころ、プレイセラピーの基本的なことに右往左往していたときに、スーパーバイザーに薦められて、この本に出会いました。当 時はまだ日本語訳が出ていなかったので、原書で読みましたが、英語がとっても分りやすく、また、何度も重要なポイントが繰り返し出てくるうえ、子どもとの やりとりについて具体的な例がたくさん挙げてあったので、英語で読んだとは思えないほど、よく理解できたのを覚えています。それはきっと、内容が素晴らし いということももちろんあったと思いますが、文章そのものが本当にわかりやすかった、というのが一番の理由だと思います。その文章から、プレイセラピスト としての率直さや、言葉の選び方をも学びとることができました。Dr.Landrethの選んでいる言葉は、シンプルで、シンプルだからこそ、子どもの気 持ちを受け取ったことを、ストレートに伝えるものになっているように思います。私もこんな風に子どもの気持ちを受け取れるようになりたい、とプレイセラピ ストとして進むべき方向をはっきりとさし示してもらった1冊です。 そして今、プレイセラピストとしての経験を積んで、さまざまな理論を学んで実践するようになっても、ときどき読み返すと、新たな発見があっておもしろいです。読み込むべき奥深い良書だということを、最近しみじみ思います。 この本に書かれていることが、あらゆるプレイセラピーの基本なのだと思うので、これから学ぼうとする方、プレイセラピーのことをもっと知りたい方が、まず読むと、きっともっと自信を持ってプレイセラピーを行えるようになると思います。
|