第四回 今回ご紹介する本

Booth, P. B. & Jernberg, A. M. (2009) Theraplay: Helping Parents and Children Build Better Relationships Through Attachment-Based Play. New York: John Wiley & Sons, Inc.
 



プレイセラピーの一つの方法である、「セラプレイ」のすべてがぎっしりつまっている本です。セラプレイとは、通常の親子関係の中で、親が子どもを育てるときに自然と行うことをベースにし、様々な理由でその相互作用が阻害されている場合に、親が子どもと適切に相互作用ができるよう、子どもと親にセラピストが直接働きかける方法です。前回紹介したCPRTに引き続き、今回ご紹介する本も、親子関係に焦点を当てている方法を解説しているものです。

親子関係に焦点を当てるといっても、その用いている技法や考えはCPRTとセラプレイとではかなり異なり、CPRTと同様、セラプレイもセラピストとしての訓練が必須で、その訓練課程はとても厳しく管理されています。というのも、通常のプレイセラピーとは異なり、子どもに直接触れたり、子どもに食べ物を与えたりするなど、独特の技法が使われているので、しっかりとその理論を理解すること、ロールプレイなどの練習を通して実際の指導をしてもらうことが必要となるのです。

そして、その適用となるのは、発達早期のむずかしさをかかえている親子関係です。本著書の目次を見ると、情緒などの制御の問題、自閉症や広汎性発達障害の問題、虐待の問題、養子縁組のよりよい適応などへの適用が解説されています。いずれも、現在の日本においても注目されている大事な問題ばかりだと思います。そういった意味でも、私自身も、このセラプレイの臨床実践を今後も研鑽していきたいと思っています。

セラプレイを学ぶことは、人間が健康に生きていくために絶対に必要な「愛着」の発達を学ぶことでもあります。早期の発達は人間関係を通して行われ、その愛着関係の上に、その後の認知・情緒・身体などの発達が積み重ねられていくことは、近年の研究でも明らかにされていることです(zero to three基本理念より*) 。子育ての本質を正しく保護者の方に伝えるという私たち心理職の大事な仕事を遂行する上でも、学ぶべきことの多い、とても重要な理論だと思います。

ちなみに、私がセラプレイのトレーニングを受けたとき、著者のフィリス・ブースのセラプレイ場面をビデオで拝見しました。彼女は、プレイフルにアクティブに子どもとかかわりながら、子どもの気持ちにとても敏感に寄り添っていました。子どもと身体的に触れ合う技法だけが注目されがちなセラプレイですが、プレイフルにリードをすること、アクティブに関わることは、決して子どもの気持ちを無視してかかわるということではないということを、心から実感しました。

日本でも2010年4月に研修が行われます(研修の情報はこちら)し、本著書も日本語訳が準備されている最中です。日本でもたくさんセラプレイが行われるようになることが、子どもたちや保護者の方たちに役立つと思うので、とても楽しみです!

*zero to three (www.zerotothree.org)
(文責:湯野)

 


Copyright (C)Tokyo Center for Play Therapy

All Rights Reserved.
 
Make a Free Website with Yola.