第六回 今回ご紹介する本

Schaefer, C. (Ed).  (1993). The therapeutic powers of play. New Jersey: Jason Aronson.

 


今回紹介するこの本もまた、プレイセラピーを学び行う上で必ず読むべきテキストとして

常に挙げられる一冊です。そのタイトルが示すとおり、「遊びのもつ治療的な力」を、さまざまな視点から、
それぞれのプレイセラピー理論の優れた一流のプレイセラピストたちが、研究結果や自身の臨床事例をもとにしながら、分かりやすく詳細に解説しています。
 
  プレイセラピーの不可欠な要素である「プレイ(遊び)」そのものが、とてもさまざまな機能を持ったもので、子どもも大人も、心から遊ぶことによって実に多 種多様な面に刺激を受け、自分を成長させ、世界や他者とつながりを持ち、学び、そして何より生きる喜びを感じます。遊んでいる人、あるいは自分が遊ぶこと を思い描いただけで、
自分の心に色々な作用が起きることからも、遊びの持つ力を私たちも気づくことができると思います。
 
  その遊ぶことがもたらすポジティブな作用として、本書では14の要素を取り上げ、そしてそれらの要素は、今もなお、遊びの重要な治療的力としてスタンダー ドに認められ続けているものです。また、本書では、プレイそのものが持っている治療的な力を、ただ挙げて解説することが目的なのではなく、「プレイセラ ピーとは、それらの力をセラピストがきちんと自覚しながら用いることである*」という考えに基づき、それらの遊びの力がどのように治療として用いられると きに、その効果を最大限に発揮できるかを読者に伝えることこそが、一番の目的となっています。
 
「ただ遊んでいただけで子どもが元気になった」というのは、経験も知識もまだ浅い臨床家がよく感じることです。
私自身も、プレイセラピーの知識がまだまだ浅いとき、そのように感じることがたくさんありました。
確 かに子どもとのセラピーは無自覚に行っていても、遊びの持つ力そのもので子どもが元気になっていくことは多々あります。しかし、それは専門的なプレイセラ ピーとは定義されていません。遊ぶこととプレイセラピーの違いを自分の中で理解して、それぞれの子どもに必要な力をセラピストが遊びを使って提供できるよ うになるために、本書が果たしている役割は本当に大きいと思います。
 
 
 *米国プレイセラピー協会によるプレイセラピーの定義:
クライエントが直面する心理社会的困難をクライエント自らが予防、または解決し、そして最善の成長と発達を遂げることを援助するために、訓練を受けたプレイ セラピストが、遊びに潜在する治療的な力を用いるような関わりのプロセスを構築するべく、理論に基づいたモデルを体系的に使うこと
"the systematic use of a theoretical model to establish an interpersonal process wherein trained play therapists use the therapeutic powers of play to help clients prevent or resolve psychosocial difficulties and achieve optimal growth and development."
 


(文責:湯野)


 

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