第七回 今回ご紹介する本

飽田典子(1999)「遊戯法 子どもの心理臨床入門」新曜社

 

このページではしばらくプレイセラピーについての洋書をご紹介してきたので、今回は和書をご紹介したいと思います。

  この本の著者は「はじめに」において、心理臨床の世界ではプレイセラピーの深遠さが軽視されがちである事、そのためにプレイセラピーの複雑な過程に戸惑っ ているプレイセラピストに応えるような専門者が少ないこと、そして「一体何が起こっているのか」「どう対応したらよいのだろうか」といった実践的な問題を カバーするような「痒いところに手が届く」手引書を書き上げることへの想いを綴っています。私がこの本に出会ったのは、プレイセラピストとしてまだ駆け 出しだった頃。この本を読んで行くうちに、「ああ〜そういうことがおきていたのか」という、まさに痒い所を掻いてもらったような心地よさや一種の安堵感に 包まれて行った事を覚えています。

  本書ではプレイセラピーのスキル、特に制限設 定については詳細な検討がされており、またプレイセラピーのプロセスを吟味し、「現実生活との非連続性と連続性」「心理的体験レベル―浅い体験と深い体 験」などといったプレイセラピーの各段階において特有な現象、問題についても触れています。著者の臨床家としての抱負な経験から語られる事例は、プレイセ ラピーにおける様々な概念が、実際プレイルームの中でどのように浮上してくるのかを具体的に説明しています。

  本書のタイトルにおいて、著者は「プレイセラピー」の一般的な翻訳語である「遊戯療法」という表現を踏襲することを敢えて控え、「遊戯法」という言葉を選 んでいます。その意図には「療」という言葉が示唆する、従来の医療モデル―すなわち専門家が患者の病を治す―という関係が、プレイセラピーにおけるそれと は 異なることを明確にする為であるということが述べられています。また「治療者」「患者」という言葉の代わりに「担当者」「子ども」という表現を選択してい るところにも、著者のヒューマニスティックな姿勢が伺えます。

 プレイセラピーについての「痒み止め」としての一冊、ぜひお勧めです。


                                                                  (文責:ファリス小川)



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