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プレイセラピーとは:第一回










































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12/18/2009

「プレイセラピーってどんなものだかご存知ですか?」

 そう保護者の方に質問すると大抵「いえ...。」「聞いた事はあります。」という応えが返ってきます。

 さて、ここでプレイセラピストに「プレイセラピーを簡単にそしてわかりやすく説明する」という大きな責任が課せられます。プレイセラピーを簡略にまとめると、以下のように定義できると思います。

 「大人が心の中を整理したり、解決方法を見つけていったり、何より元気になったりするために話をするのとまったく同じように、子どもは遊ぶ ことによって、自分自身を回復させ、成長させていきます。プレイセラピーとは、そのような遊びによる回復力と成長させる力を最大限生かすように、プレイセ ラピストという専門家が手助けをしていく心理的なサービスの一つです。」

 しかし、中には何年にもかけてゆっくりゆっくり子どもが治癒していく過程を辿ったケースや、セッション中、またはセッション外の思いもかけないことが起きた という偶発性によって、子どもが元気になっていくきっかけになった、などという経験をされたプレイセラピストの方は少なくないと思います。プレイセラピー という子どもとの旅が辿る航路は本当に様々なため、それを簡略に、しかも実際にプレイセラピーを行う経験をされたことのない専門家以外の方にわかって頂くように説明するのは、なかなか至難の技です。とは言っても、「遊びによる回復力と成長させる力」をもう少し詳しく見て行くと、いくつかの主要素が 浮かんで来るように思います。そのような点をカバーしながらプレイセラピーの説明をすると、保護者の方のプレイセラピーへの理解が更に深まるように思います。遊びにはセラピーで活用できる様々な要素がありますが、ここでは3つの主要素;1)表現媒体としての遊び、2)アセスメントとしての遊び、3)そして治癒力としての遊び について毎回一つずつ簡単に触れていきたいと思います。


1)表現媒体としての遊び:遊びは子どもの言語(認知言語発達からの見地)

 子どもが大人と同じ様に物事を認知し、そして考えるようになるのは、小学校高学年、11、 12歳ほどからであるということは、ピアジェを始めとする児童発達の見地からもわかっています。言語、認知の発達が未熟な子どもに、「今どのように感じて いますか?」なんて従来の言語に基づくセラピーを行っても、行き詰まってしまうのは目に見えています。言葉の代わりに子どもの表現媒体となっているのが、 遊びなのです。子どもは自分が感じている事、考えている事、彼等の希望、欲望、自己イメージ、他者への見解、世界観などを、遊びを通して表現するのです。 遊びを通して子どもは語るのです。アナフロイトが完全に言語に頼った自由連想法を子どもに適応するために、言語の代わりに遊びを使用した理由もここにあります。「子どもは遊びの言語、おもちゃは子どもの言葉」という説明は、プレイセラピーに詳しくない方にもピタッとくるようです。

ここで、ある男の子の話をご紹介しましょう*

 白人のご夫婦が 赤ちゃんの時に養子として引き取った5歳のアフリカ系アメリカ人の男の子がいました。彼は、攻撃的な行動がひどく、幼稚園の退園をせまられているということで、クリニックにやって来ました。お母様とお話をすると、お母様個人が養子をもらったということに対してもっていらっしゃる様々な感情から、この男の子 には養子については全く話しをしてないということでした。初期段階のプレ イセラピーで、この男の子はある人形劇を繰り広げました。 大きなたてがみのある茶色のライオンが自分、真っ白な羊がお母さん、そして友達のカエルが出て来て、カエルが「どうして君とお母さんは全然似てないの?」 と問うてくると、羊もライオンも困ってしまいます。そしてライオンは、どうして自分はお母さんのようではないのかを魔法使いに聞きにいくというお話でした。

 さて、皆さんはこの遊びを通して彼がどんなことを伝えようとしていると感じられますか? ここでプレイセラピストは、自分がお母さんみたいじゃないという困惑、不安を彼が伝えていると感じたのと同時に、「どうして?」への答えを見つけようとす る勇気が彼にあることを感じました。その後、この子は自分の生い立ちを知りたいと思っている事、聞く勇気があると思われるということをお母様に伝え、発達 年齢に見合ったかたちでどうやって男の子に養子の件について話をするのか念入りな準備をお母様として行きました。この子がどのように養子についての事実を受入れるか、お母さん はとてもとても不安でいらっしゃいましたが、この子は「ああ、そうだったのか!」とすっきりした様子で話を受け入れ、そしてその後問題行動も消失していきました。子どもが遊びの中で象徴やイメージを使いながら色々なことを伝えているのだと言う事を改めて実感した一例でした。

次回は2)アセスメントとしての遊び について触れて行きたいと思います。

 

*このケースは実際の話を元にしていますが守秘義務厳守のため、所々ストーリーが変えてあります。

 

 
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